ひとつひとつ気持ちを籠めて拵えたビーズのアクセサリーをご紹介しています。


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il documento di visconti

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*『 ヴィスコンティの遺香 』 篠山紀信著から:ヴィスコンティの生きていた場所を追跡するような構成の写真集。生活空間や遺品、秘蔵写真、家系図など、、、一族や関係者の協力で1982年に発表されたものが2007年に復刊してくれました。生誕100年の年にタイムリーに接する事が出来て幸せでした。

冒頭は「山猫」で使われたシチリアのボスコ・グランデ邸から始まる。映画の中で見慣れた風景が出てくると、写真と場面が重なり高揚しますね。そして見せ場でもある終盤の大舞踏会の舞台になった大広間のあるガンジ邸。オーナーは、この取材では見せてくれなかったそうです。もしや、当時の華やかさが薄れて跡形も残ってないのではと著者は語っていますが、なんだか映画のように衰退していく寂しさを感じてしまいますね。

それから、コモ湖畔チェルノッビオにあるヴィスコンティ家の別荘の一階の小部屋。ここで「ルートヴィヒ」編集が行われていたそうです。。 このヴィラ・エルバ・ヌォーヴァの様子は、下界から遮断され静かなひっそりとした小さな城と言う感じ、中世にトリップする感覚になりそうな、、、。元はナポレオンも所有していたというこのヴィラはルキーノの母方のエルバ家が所有していたものだそうです。ここでルキーノは編集途中に疲労からくる病で倒れてしまいました。最初はスイスで療養していたが、また此処に戻り療養生活と厳しいリハビリの傍ら「ルートヴィヒ」の編集の続行したのです。

写真集の中には「ベニスに死す」撮影時のロケ現場での様子写真や、関わっていた舞台劇場の写真や映画の中で使った衣装やキャラクターデッサン 、仕事風景の写真なども含まれていました。

または、ルキーノの生家や青春時代に関わっていた場所の写真や、幼少の頃の家族写真と妹のイーダが語る、子供の頃の思い出話。そして、ただ一度の婚約とその失敗の話。ルキーノが生涯でその女性ひとりしか愛さなかったのでは、、、と妹さんが語るインタビューも。

そしてルキーノのプライベートで一番お気に入りのイスキアの夏の別荘/ラ・コロンバイア。もっとも個人趣味の高い空間というのが随所に現れている家です。アールヌーボとアールデコが細部にわたり、隙なく見事に調和している。この様式美が好きであれば、眺めているだけでも心地よくなってきますよ。ミュシャのポスター(多分本物)がさり気無く飾ってあったり 、暖炉の上には母親とヘルムート・バーガーの写真が揃って飾ってあったり、山猫を思わせるテラスの様子とか、ルキーノにとって過ごし易い空間作りがセンスよく配置されていいますね。でもって園芸が好きだったみたいで花や庭木の手入れは日課にしていたそうです。

こうやって、ルキーノ・ヴィスコンティの跡を追ってみると、彼の作った映画の世界観に凄く重なります。生家での様子は「山猫」であったり、コモ湖畔の別荘は「ルートヴィヒ」だったり、ローマの自宅の様子は「家族の肖像」を思わせるのです。そして、関係者のインタビューの様子から、威厳あるけど大変魅力的な人物であったことが伺え、益々ファン度が上がります。

いやー、ため息モノの贅沢な写真集でした! ヴィスコンティのファンにはタマランです。彼の生活空間が垣間見れるなんて夢のようなものだった。いいなー、篠山紀信。現地で直に思いっきり肌で堪能できてッ。プライベート・ヴィラでは昼食もいただいたそうな!巻末座談会記事の中で、それを聞いた淀川長治さんが「殺してやりたいッ(笑)」って、嫉妬されたそうです(笑)

ワタシも同感だ(笑) 
     
この写真集を作ろうとした篠山氏の動機、好きな作家の完成された作品からその人間性や創造性を探るのもよいが、その作者の生活環境や人となり、愛でてきたものから探りたくなったから。こーゆうアプローチはワタシも好きです。




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ヴィスコンティの遺香 愛蔵版 [ハードカバー]
著者:篠山紀信

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by harusfactory | 2011-02-10 08:43 | Favorite